予防接種
お子様の健やかな成長には予防接種=ワクチンが必要不可欠です。しかしながら、副作用が心配、かかっても軽症だから大丈夫では、と感じ、ワクチン接種をためらう親御様のお気持ちは十分に理解できます。そこで皆様に少しでも安心してワクチンを受けて頂くため、接種の意義や、副作用が出た際の受診の目安について、説明させて頂きます。
ワクチンのメリット
- あらかじめ病原菌に対する免疫力を作り出し、病気になりにくくする。
- 実際に感染症にかかるよりも症状が軽い。
- 周囲にうつさない。
例えば、おたふくかぜに実際にかかると、難聴を合併する事があります。難聴は片耳だけの事が多く、気づかないうちに難聴になっている場合があります。また、稀ですが、命にかかわるインフルエンザ脳症の予防に最も有効なのはインフルエンザワクチンです。その他、実際にかかると合併しうる病気として、水ぼうそうによる小脳失調や、おたふくかぜによる急性膵炎など枚挙にいとまがありません。当クリニックでは、日本小児科学会(https://www.jpeds.or.jp/)の方針に従って、最新の正確な情報をお伝えし、ワクチン接種を適切に推奨していきます。
次に、卵アレルギーの場合や、副作用として多い接種後の発熱や、接種した部位が腫れた際の受診の目安について説明します。
卵アレルギーがあるけどインフルエンザワクチンを打っても大丈夫?
鶏卵アレルギーがあってもインフルエンザワクチンを打って大丈夫です。インフルエンザワクチンは鶏卵で培養し作られるので、添付文書には、接種上の要注意者として「本剤の成分又は鶏卵、 鶏肉、 その他鶏由来のものに対してアレルギーを呈するおそれのある者」と記載があります。これは、まだ卵アレルギー患者さんへのワクチン接種の知見が十分で無かった際の名残で、2024年現在、カナダ(National Advisory Committee on Immunization)やアメリカ(The Joint Task Force on Practice Parameters (JTFPP))のガイドラインでは、インフルエンザや麻疹ワクチンは安全に接種できるとされています。
予防接種のあとに熱が出た際の受診の目安
- ぐったりしているとき。
- 食事や飲水が摂れなくなってきたとき。
- 意識がもうろうとしているとき。
- 発熱後、次の日にかけて熱が下がってこないとき。
不活化ワクチンである肺炎球菌ワクチンの接種後の発熱は比較的多く、37.5℃以上の発熱が約3-5割の方に起こるとされています。四種混合ワクチンでも約1-5割の方に起こると報告されています。また、生ワクチンである麻疹・風疹ワクチンの接種後も、2割程度の方が発熱します。不活化ワクチンである肺炎球菌ワクチンや四種混合ワクチンなどの場合、多くは接種後当日から翌日以内に発熱し、そのほとんどは1-2日で下がります。生ワクチンである麻疹・風疹ワクチンでは、接種4-12日後に発熱することがあり、同様に1-3日以内に軽快します。
うったところが腫れた際の受診の目安
- 腕全体や、肘や肩を超えて腫れが広がる場合。
- 強い痛みがありそうでお子さんが不機嫌な場合。
どのワクチンでも、多くは接種当日、遅くとも3日以内に腫れます。それらの症状は3-4日で自然に治まりますが、固く触れる部分は、縮小しながらも数か月続くこともあります。特に、肺炎球菌、ヒブ、四種混合ワクチンの接種後は腫れやすいとされています。